映画「アントマン」と「シビルウォー/キャプテン・アメリカ」を見ました (後半部ネタバレあり)

 最近公開された「シビルウォー/キャプテン・アメリカ」を観ました。

 とてもおもしろかったので、そのことについて書きます。

 まず最初に、私はこの映画、劇場へ行くつもりなかったんですよ。DVD化してから(まあ、最近だと、動画配信サービスで配信が始まってから、ということになるんですが)、見ればいいかな、ぐらいに考えていたんですね。

 どうしてかというと、去年、劇場へ観に行った前作の「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」が、クオリティにはそれなりに満足はしたものの、昔、初代「アベンジャーズ」を見た時ほどの、ワクワク感がなく、自分の中でマーヴル映画に対する情熱が落ち着いてしまったのを感じたからでした。

 それなのに、どうして今回、やっぱり公開後すぐに、映画館まで観に行こうと思い直したのかというと、直前に(動画配信で)「アントマン」を見たからなんですね。

 

 


映画『アントマン』予告編

 

 

 これが超面白くて。

 最初、「ああ、次のヒーローは一寸法師ね。地味そうだなあ。しょせんシビルウォーに登場させるためのつなぎ作品でしょ?」みたいな感じで、たいして期待していなかったんですが、「アリの力を備えたヒーロー」っていうのが、単に小さくなるってだけではなく、通常の(人としての)大きさと縮小とを任意に切り替えて戦ったり、仲間のアリを駆使して障害を乗り越えたりといったアイデアが思った以上に豊富で、その上、単品としてのストーリーもすごく良かったので、私の中で種火状態だったマーヴル熱が、ここで再びいっきに燃え上がってしまったのです。

 で、映画の日が祝日だったこともあって、その勢いで最新作「シビルウォー/キャプテン・アメリカ」を観に行ったわけですよ。

 


「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」日本版新予告

 

 もうね、最高でしたね。

 これ、このワクワク感が欲しかったのよ、という映画でした。

 事前にスパイダーマンも参戦するということはわかっていたのですが、ここまで効果的に使って盛り上げてくれるとは思いませんでした。

 そしてキャラ的に地味になりそうだったアントマンにここまでやらせるとは。

 「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」がちょっと残念だった理由の一つに、作中、一番盛り上がるところといっても過言ではないハルクバスターを装着したアイアンマンとハルクが戦うところが、予告編の時点で全部出ちゃっていたので、本編を見ても「ああ、やっと出てきたな」となってしまい、感動が薄かったというのがあったと思うのですが、今回はいいところはちゃんと隠されているので、その心配はありません。

 

 

 (ここからネタバレ)

 

 

 題名が「シビルウォー(内戦)」というだけあって、それぞれに言い分や正義があるのですが、物語終盤、裏から手を回してこの事態を引き起こした悪の黒幕の存在が明らかになり、「ああ、なるほど、今までのことは全部こいつが悪いってことにして、キャプテン・アメリカとアイアンマンが協力してこいつを倒して、最後は良かったねってするのね。まあ、娯楽映画だし、そこらへんが落とし所よね」と思ったら、その黒幕すら、単純な悪者、加害者側というわけではなかったので、結局アベンジャーズの両陣営も最後まできれいに和解することなく映画が終わってしまうというエンタメにあるまじきサプライズな展開。

 それによって、重いテーマが単純な勧善懲悪に回収される脳筋映画になってしまうのを避けられた、という良さがあった一方で、この作品単体では、問題がなに一つ解決していない、見る人に後味の悪さだけが残りそうなラストになってしまったのですが、それを補うようにブラックパンサーという、ぐうの音も出ないほどの聖人を配置して、道徳的にこうあるべきという一つのありかたを、自らの行動で示してくれたおかげで、観客は一種の爽やかさも感じることができるという、テーマの深さとエンタメ性を両立させる見事な手際が素晴らしかったです。

 最後に、本人はいつも他の誰よりも世界全体のことを考えて、行動しているつもりなのに、本人の徳のなさが災いしてか、災厄ばかり引き起こし、各方面に敵ばかり作っているアイアンマンを(今のところ)慕う数少ない人物という設定の今回のスパイダーマン、なかなかいいキャラをしていたので、アイアンマンとの絡みの部分も含めて、今から新作が楽しみです。

 

 つまりはそういうことだ。