本日、ワンフェスことワンダーフェスティバル2016[夏]に行く予定です。
実のところ、ガレージキットの世界には、とんと疎く、ワンフェスに特別欲しいもの、見たいものがあるわけではないので、どちらかというと、子供の頃、最新のゲームが発表される場として地方民あこがれの存在だった「幕張メッセ」に行けることの方にわくわくしております。
ベニー松山「隣り合わせの灰と青春 」
あの伝説のウィザードリィ小説 、「隣り合わせの灰と青春 」がkindle化されていましたので、20年ぶりぐらいに再読しました。
高校の時、それはもう、あまりのおもしろさにゲームともども夢中になりましたよ。
文字通り「隣り合わせの灰と青春」ってやつです(笑)
再読して改めて思いました。
傑作だと。
余談ですが、この作品、Amazonプライム会員でしたら、オーナーズライブラリーの対象ですので、本作の外伝的位置づけの中編「不死王」ともども月一冊、無料で読めてしまいます。
もともとゲームの「ウィザードリィ」自体、日本のよくあるRPGのように壮大なストーリー()やドラマティックなイベント()も皆無で、主人公は伝説の勇者の末裔()でも王家の血筋()でもない普通の人、舞台は地下10階の迷宮のみという、ストーリーだけ取り出してみると、シンプルというか、ハッタリのあまり効いていない、地味なゲームです。
ですので、小説にしようと思えば、ゲームの設定やストーリーにとらわれず、かなり自由に話を展開できるのですが、逆にいえば、原作に頼ることができないので、それだけ作者の力量が問われるわけで、それをここまでの完成度に仕上げた作者には、ただただ敬服するしかありません。
グレーターデーモン、フラック、村正、盗賊の短刀にティルトウェイト…。
でてくるだけでいちいち嬉しくなってしまうウィザードリィ用語を漏らさず盛り込んで、ゲーム小説としての要求をしっかりと満たしつつ、ゲームの世界の設定を再構築してディティールを詰め、その土台の上で、良く練られたストーリーが展開されていますので、純粋にエンターテイメント小説として、最高におもしろいです。
悪のパーティの嫌味なプリーストの、死ぬ間際の告白を、初めて読んだ時の衝撃と言ったら…。
ゲームの小説化作品という性質上、ウィザードリィを知らない人がどこまで楽しめるのかは、ちょっと自信がありませんが、知っている人になら、極上の体験を約束できる名作です。