映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」感想 (ネタバレなし)

 5はフローラ派です。

 こんばんわ。

 映画「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の感想です。

 ネタバレはしていないつもりですが,先入観なしで見たい人は読まないほうが良いです。

 

楚(紀元前3世紀頃まであった国)の人が先祖を祭る行事をして、召使いたちに酒を与えた。召使いたちは相談した、「何人もが飲むには足りないが、一人で飲むには充分ある。地面に蛇の絵を描いて、一番先にできた者が酒を飲む事にしよう」。一人の蛇が真っ先に完成し、その男は酒を引き寄せて飲もうとして、左手に杯を持ち、「私はまだ足を描き足す余裕がある」と言って右手で蛇の絵に足を描き出したが、それを描き終わらないうちにもう一人が蛇を描き上げ、杯を奪い取って、「もともと蛇に足はない。そなたに足を描けるわけがない」(蛇に足を描いたら、それはもう蛇の絵ではなくなり、描いた男の勝利は無効になる)と言って酒を飲んでしまった。おかげで、蛇に足を付けた男はついに酒を飲み損なってしまった。

蛇足 - Wikipedia

 

 この故事で例えて言えば,「せっかく蛇(原作部分)はなかなか上手に描けていたのに,足(監督が勝手につけ加えた映画オリジナル部分)がついていたために,全体としては,下手くそな蛇の絵(凡作)以下の映画になってしまった」といったところ。

 

 特に,CGが良くて,日本のCGアニメでも,ここまでできるんだって感動してしまった。これだけで,十分,見たかいはあった。

 少なくとも元のゲームをやったことのある人であれば,理解可能な程度に原作をうまく取捨選択して2時間程度にまとめられていたと思うし,音楽は,下手にオリジナル曲をつかったりせずに,すぎやまこういちの音楽をそのまま使っていたのも評価できる。

 ここでオリジナル曲を使ってがっかりさせる原作付き映画の多いことを考えると余計に。(使うのは,5の音楽だけにしろとか,5のストーリーであの曲を使わないのは控えめに言って馬鹿なの?とか,言いたい気持ちは正直あったが,そこは許そう)。

 

 一番地雷原になりそうだった,ビアンカ,フローラあたりの一連の流れの処理も,なかなか上手で,感心したし,意識高い監督が,でしゃばって下手な作家性を発揮せずに,この方向性で最後まで普通にドラクエ5やっていれば,みんな幸せになれたのになあと,残念でならない。他の部分はいろいろ良かっただけに,スタッフが気の毒に思えてくる。

 

 この監督の罪は,単に駄作を作ってしまったという以上に重い。

 今後,別のドラクエの映画やアニメが作られても(おそらく作られるだろう),スクエニはこんな映画を許してしまうのだということがわかってしまった以上,新作であっても,見る前から身構えてしまい,素直に楽しむことができなくなってしまうのは,私だけではないだろうから。