「ドラゴンクエスト ユアストーリー」が控えめに言ってもクソ映画だったにもかかわらず,同監督の「アルキメデスの大戦」は結構評判が良くて,
こちらの記事を見て,ますます興味が出てきたので,あまり期待せずに,見に行ってきた。
面白かった。
なんというか,これが同じ監督の作品!?っていうぐらいよくできていて,びっくり。
正直,終盤まではそこそこ面白いといえなくもない凡庸な映画,ぐらいのテンションで見ていたのだが,ラストの2~30分ぐらいで,ドラクエの時とはまったく逆に,あ,こういう世界観なら,ありだわ!と評価が一変した。
歴史改変でもしないと,うまくオチがつけられないんじゃないかなと心配しながら見ていたが,こういうやり方もあるんだなあ。
こういう経験をしてしまうと,1作だけ見て,その監督を安易に評価しちゃあいけないなあと思った。
今回はあんたの勝ちだ。
創作の世界において,旧日本軍のロマンの象徴として,なにかと美化されがちで,否定するのがタブーのような雰囲気すらあった戦艦大和の存在が,本作内では,建造を阻止すべき存在として,まるで,無駄な公共事業のように,扱われているのも新鮮だった。
最初,主人公の描写に,「日本映画に出てくる理系の天才って,どうしてこうどれもこれも,画一的な空気読めない変人キャラなんだろうなあ」みたいに残念な気持ちになっていた。
しかし,最後の場面で,本人が良くも悪くも成長して,軍人らしくなっていて,無念の表情を浮かべるのを見て,このキャラだからこそ,このシーンが引き立っているんだなあと,これまた感心したり。
単純に,軍部が悪い,上層部が馬鹿だ,庶民はかわいそうな被害者だ,みたいなところに落ち着かせないあたりも,反戦映画としてもなかなか良かったと思う。
巨大戦艦建造計画を推進する平山中将の話は,終始詭弁のオンパレードなんだけど,だんだん,それが本当のところ,正しいんじゃないか,みたいに思えてくる,妙な説得力が出てくるのも,この映画の魅力。
この役者さん,良かったです。