ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!」を見た。
『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!』1/2(土)よる9時放送!!【TBS】
ドラマ本編の方は未視聴なのですが、ネットの評判などでどんな感じの話なのか、だいたい想像できたので、いきなり新春スペシャル版を見てみました。
これからの感想は、本編を見ていない人の書いた、あまり当てにならない感想だと思っていただければ。
いやあ、つまらないドラマでした(直球)。
なんなんですか、この冒頭からえんえん続くポリコレの教科書のような鼻につく説教臭い展開は。
あまりにも、ベタな「今の時代にあるべき社会観、男女観」の押し付けがひどいので、ひょっとして逆に、この後、海外ドラマの「ザ・ボーイズ」みたいに、現代の行き過ぎたポリコレをあざ笑うような高度な内容になるのかなと思いきや、全然そんなことなく、最後まで突っ走ってしまいました。
こういうバカドラマを真に受けた人が、「「年収500万円の星野源似」を"普通の男"と考える婚活女性」や、映画「来る」に出てくる妻夫木聡みたいになるのかもしれません。
まさにその映画「来る」の序盤のような、悪夢のようなリア充の胸糞展開が延々続くので、見ながらずっと「早く、悪霊が出てきて、こいつらを呪い殺してくれないかな」と思っていましたよ。
ちょっと真面目な話になってしまいますが、ガチガチに保守的な価値観で、時代の変化に全くキャッチアップしない、できない人ももちろん問題なのですが、このドラマに出てくる主人公達のように、「今の時代のあるべき考え方はこれ」というものを、そのまま無批判に受け入れて、それが絶対に正しいと信じて疑わない人も、これはこれで、幸せになるハードルが高くなり、生きるのが大変そうだな、と思いました。
ところで、このドラマだけ見てもどうしてタイトルが「逃げるは恥だが役に立つ」なのか、さっぱりわかりませんでしたが、やっぱり本編を見ないとわからないようになっているんですかね。
映画「ミセス・ノイズィ」を見た。
そんな感じで、物事をひねくれた目でしか見られない中年男性の私が、最近見て、面白かった映画がこちら「ミセス・ノイズィ」なわけです。
ツイッターの口コミで偶然知った映画だったのですが、こういう評判の広がり方をする映画は、まず間違いないと確信して、見に行きました。
実際、評判通りの良作でした。
虐げられた立場の人が、実質的な主役のお話なので、最後はこうなるだろうなって、ある程度予想がついていても、やっぱり終盤の(自分の考える)クライマックスは、ぐっときましたね。
あんまり先入観は持たずに見たほうが面白いのですが、予告編を見れば、映画を見慣れている人なら、だいたい察しがつく内容です。
おおざっぱに言うと、ちょっと前に流行った「カメラを止めるな!」と似た感じの映画と言えるかもしれません。
古くは黒澤明の「羅生門」なんかもそうですけれど、「自分の見ている現実が、立場や視点を変えると、同じ事象なのに、全く違ったストーリーになる」っていう構造が、私は好きなんですよね。
この映画ではそれぞれの視点を担当するのが、いかにも現代的なリア充夫婦(それこそ「逃げるは恥だが役に立つ」的若夫婦)と、少し不気味な老夫婦のわかりやすい対比になっています。
この映画自体、そこまで凝った作りではないので、あまり展開の意外性に期待しすぎると、拍子抜けするかもしれませんが、なかなか示唆に富んだテーマをうまくエンタメに落とし込んでいると思います。
昭和の、自分が子供だったころと比べると、社会もずいぶん変わり、良く言えばきっちりと、清潔になり、「普通に」生きる上では、なにかと快適になりました。
その一方で、社会が洗練されすぎてしまったがゆえに、その代償に、以前ならそれで問題なく生きていけたのに、現代の「普通」の基準が上がりすぎたために、社会不適合者としてのレッテルを貼られてしまい、肩身を狭くして生きざるを得なくなった人も、増えているように感じます。
映画の中で、パート先で、曲がった野菜が商品にならないから捨てるように言われた騒音おばさんが、捨てるのを拒否し、曲がった野菜を引き取ってくれる場所を探して、街中のスーパーを必死で巡るという、ストーリーとそこまで密接に関係があるわけではないエピソードがあり、そこに少なからぬ尺が与えられていたのも、示唆的でした。
そんな映画だからこそ、最後は、いくらかの救いを残して終わったので、よかったです。
蛇足ですが、この映画に出てくる主人公の旦那さんも、なかなかのクソ野郎でしたので、こいつも早く悪霊に呪い殺されてひどい死に方しないかなあと思いながら、見ていました。困ったことに、映画「来る」を見てから、嫌いなやつが出てくると、すぐそう考えてしまう習慣がついてしまいました。