映画「ゴジラ対ヘドラ」 小泉悠「ロシア点描」

映画「ゴジラ対ヘドラ

 NHKの「一オクターブ上の音楽会」で特集していた「ゴジラ対ヘドラ」の「かえせ!太陽を」を聞いて、さっそく映画「ゴジラ対ヘドラ」をU-Nextで視聴。

 

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 なんというか、見どころは多かったです。うん。

 子供向けの部分と大人向けの部分、両方狙っているのですが、その乖離が大きすぎて、エンタメとしてもシリアスとしても中途半端になっているような気がします。

 わりと深刻な内容の割に、ゴジラヘドラも、動きが「軽い」から、ストーリーに説得力があんまりないんだよな。

 

小泉悠「ロシア点描」

 軍事評論家として、ウクライナ関連の硬い報道番組でおなじみ、丸の内炒飯OL、小泉悠のロシア入門的な本です。

 ロシアの教科書的な紹介というより、著者の体験ベースのエッセイと言った感じなので大変読みやすいです。

 私はソビエト崩壊後、ロシアが大国というイメージはまったくなくて、過去の遺産を抱えた二流国が、たまたま天然資源に恵まれて、息を吹き返した、でかいアラブ諸国的な立ち位置の国程度のイメージでした。

 でも、ロシア自身は全くそんな意識ではなかったのが、ウクライナ進行後、いろいろわかり、かなり認識を改めないといけないと思いました。

 ロシア人が、政府を信用しないところや、強い権力でなければ国がまとまらないと考えているところ、良くも悪くもルーズなところなど、大陸的というか、中国やその他アジアの国とも通ずるところもありますが、核戦争を意識した地下空間のようなアメリカとタメを張った軍事大国的な側面、ヨーロッパに対する憧れと反発の二律背反な感情、寒い地域ならではの生活習慣など、ロシア人ならではのものも多く、興味深かったです。

 そして、中国人もそうなのですが、ロシアのように広大な地域だと、一言にロシア人といっても、西洋人っぽい人から我々と変わらない容貌のアジア人っぽい人もいて、かなり幅があるので一言で言うことが難しいことも大事ですね。

 プーチンが「安全保障を外国に依存するドイツや日本のような国は、主権国家ではない」と考えているのは、まあまんざらわからなくもありません。一理あるというか、認めてはいけないけれど、否定できないと思います。

 安倍さんなんかが典型でしたが、日本の大国に対する外交が、どことなく滑稽に感じるのは、日本自身の自己認識が、他国から見た日本の認識とずれていることが大きいような気もします。自分で自分のことをすべて決められない国とまともに外交交渉しても無駄だ、と思う国があっても不思議ではない、というか、そういうことは当然認識した上でやっているものだと思っていたのですが、どうもそうではないフシが見受けられますので。