最近あまりしていない、本の話題でも。
今読んでいる本
梶原一騎原作の劇画を地で行くような、べらぼうにおもしろい格闘技ノンフィクション。
登場人物が超人たちばかりで、まるで漫画。
まだ読み始めたばかりだが、今ある「柔道」の歴史の影で抹殺された古流柔術や高専柔道の歴史など、格闘技漫画でおなじみのワードが次から次へと出てくるので楽しくて仕方ない。
ノンフィクションとはいえ、基本、木村政彦寄りのスタンスで書かれているので、この本に書かれていることが全て正しく、今、世間に流通しているプロレス界や柔道界の「正史」が虚構だと言うと、言いすぎかもしれないが、こういう世界、こういう見方があったことが、埋もれてしまわずに残ったという意味で貴重な資料。
結局、歴史って、勝ったものや、声の大きなものに都合の良いように編纂されたものが「正史」として流通するのであって、それは虚構ではないものの真実でもない、そういうあいまいな部分がどうしても残る、それ以上でもそれ以下でもないものなんだよな。
というわけで三国志ですよ。
三国志に中途半端に詳しくなると、正史「三国志」を持ち出して、「三国志演義」をあれは創作だからと、上から目線でやたら馬鹿にするマニアみたいなのがいるけれど、正史だってしょせん、勝者(晋と、晋が禅譲を受けた魏)の視点から書いているわけだから、絶対中立なんてありえないし、そこらへんは割り引いて考えないとね。
で、コンビニで売っていたので、タイトルに惹かれて買ったのがこれ。
買った後で気づいてショックだったのですが、kindle unlimitedに入っていたら、無料で読めます。
「それからの」ってあったから、てっきり蜀滅亡後かと思って買ったのに、読んでみると諸葛亮の死後から蜀の滅亡までがメインで、その後は晋の統一までをさわり程度という普通の内容に少しがっかり。
ようは横山光輝三国志の60巻をもう少し詳しくしたような感じ。
その後が読みたかったのに。
これを読むと、横山光輝先生の三国志はあれでもずいぶん武将の顔の描き分けができていて、すごかったんだなあと改めて思う。
鄧艾とか、傑作だったもんなあ。
この帽子と髭!
ライバルの鍾会はキャラデザがイマイチだったので覚えていないな、そういえば。
それに比べ、このコミックだと、キャラの顔がどれも特徴がつかみにくくて、困った。
それともう一冊、こんなの誰が読むんだ?と思ったので買ってみた一冊。
図説 呉から明かされたもう一つの三国志 (青春新書インテリジェンス)
- 作者: 渡邉義浩
- 出版社/メーカー: 青春出版社
- 発売日: 2016/09/02
- メディア: 新書
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なんと一冊まるごと呉の建国から滅亡までという、呉オンリーの同人誌のような本。
「図説」とあるように地図が豊富なのはとても良かった。
これを読むと、呉がつねにマイナーで地味なのも納得。
とにかくやることなすことに華がない(笑)
個人レベルでは、知将、名将もそれなりにいるのだが、たいていろくな死に方をしていない(笑)
赤壁の戦い後も、魏と小競り合いは続くが、決定的な版図の更新はない。
若い頃は有能だった孫権も、晩年は老害と化すし、後継者争い、派閥争い、その後はお決まりの無能暴君の即位(劉禅、全然マシじゃね?と思うレベル)と、自滅の道まっしぐらで滅びの美学もくそもないし、とにかく一貫して内向きで暗い。
姜維のように降伏後、一矢報いてやろうなんて企てる気骨のある人物もいないし、ドラマがないんだよな。
という、わかりきっている呉の魅力の無さを再確認するのにオススメの一冊です。