中国で生活したことがある人ならおなじみ、定番の黒酢「鎮江香酢」を、最近近所にできた中華食材店で購入。
ついに君に再会できたね。ずっと探していたんだよ。
おめでとう。上海で飲んだ、いつもの味。僕にとって新鮮味がないことが、成功の証だと思う。
中華食材特有のクセがありますので、万人にすすめるつもりはありませんが、ラーメンでも餃子でも、炒めものでも、中華料理っぽいものなら何に入れても良しの万能調味料です。
安能務「春秋戦国志」読了
ついに読了。
これを買ったのがいつだか覚えていないけれど、たぶん高校生か大学生のころだと思うので、20年越しの積読をとうとう消化しました。
なんとなく、当時、古本で一冊200円か、三冊まとめて700円ぐらいで買ったような気がします。
どうしてもっと早くこれを読んでおかなかったのか、と後悔してしまうぐらい、面白かったです。
なぜ長年積読になっていたかというと、
- 全3巻というボリュームから気軽に手を出しにくかった。
- しかも文字が小さい。今なら電子版もあるから、今読むなら絶対電子書籍がおすすめ。電子書籍のメリットって、置き場所のことばかりがクローズアップされがちだけど、文字の大きさや行間等を調整できるのは、かなり大きなメリットだと思う。最近の本では少ないかもしれないけれど、昔は、文字が小さすぎたり、ページあたりの空白が少なすぎてページが真っ黒だったり、フォントが汚くて文字そのものが読みづらかったりする本が結構あったので。岩波とか岩波とか岩波とか。
- 読んだことがある同じ作者の「封神演義」がつまらなかった、文章が読みづらくて読んでいて苦痛だった、という記憶があった。
あたりの理由があったんですね。
で、今回も、読みはじめの序盤は、結構この作者特有の悪い意味でのクセ、みたいな読みにくさとか、回りくどい話の持っていきかたとかに、苦労させられたのですが、序章のようなものが終わって、本編に入ると、それも緩和されて、スムーズに読みすすめることができて、そこからは一気でした。
書名が「春秋戦国志」となっていますが、中国にそんな名前の本があるわけではなく、作者も明かしているように、種本は清代の「東周列国志」で、その安能務アレンジの小説となります。
残念ながら「東周列国志」自体、日本でメジャーな訳本や日本人作家によって小説化されたものがないので、春秋戦国時代を一作の小説で概観したいとなると、ほぼこれ一択になってしまうのではないかというぐらい、貴重な本です(たぶん)。
そこらへんの時代を知りたい人なら、まず読むであろう、「史記」や「戦国策」だと、個々の人物やエピソードはわかるんですけれど、それらに出てくる登場人物同士の時間的、空間的なつながりっていうのが、いまいちわかりにくいんですよね。
たとえば、三国志の諸葛孔明が、古の管仲と楽毅を自身になぞらえた、というのは有名な話ですが、ではこの二人の活躍した地域や時代が、どの程度重なっているのか、離れているのか、あるいは、彼が劉表の長男に語って聞かせた晋の文公(張耳)と、管仲、楽毅は、時代的にからみがあったのか、全然別時代の人なのか、みたいな横断的な感覚がなかなか身につかず、長い間、春秋戦国時代が「わかるけど、わからない」状態がずっと続いていました。
それが、この本のおかげでようやく「なんとなくわかった」気になれました。
良くも悪くも作者自身の歴史観が、作中にたびたび強く顔を覗かせるので、この本だけで春秋戦国時代をわかった気になるのは危険かもしれませんが、一つの基準を作る一冊として、実に良い本だと思います。
当時は宮城谷昌光もまだ出てきていないか、出始めだったかぐらいだったこともあり、春秋戦国時代のエンタメ本とか、本当になかったんですが、ありがたいことに、「キングダム」という大ヒット漫画の影響で、一昔前では考えられないぐらい、最近、春秋戦国(特に戦国)時代の関連書籍が増えました。
各国のパワーバランスも目まぐるしく変わり、諸子百家が活躍する、文武ともに中国史で一番面白いといっても過言ではない(もっといえば、キングダムの時代は、始まった時点ですでに秦の一人勝ちで大勢が決しているので、それよりもっと前のほうが本当はおもしろい)、魅力的な時代ですので、三国志、項羽と劉邦あたりを履修した人の次の一冊には、特にオススメです。