各種映画賞を受賞し、周囲の評判も上々の「桐島、部活やめるってよ」が、
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ここのラインナップに入っていたので、きっとおもしろいんだろうなあと思い、遅ればせながら、レンタルして見た。
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見てみると、つい最近総集編を見た「あまちゃん」の主人公の友達の女の子も出ていた。
この子、髪型まで同じなのね。当たりの作品ばかりに出演できて、ついているなあ。
それはともかく、映画のほうだが、これは映画そのものより、映画を見た人の感想や意見を聞いたり、それについて語ったり、話したりするのがおもしろいたぐいの作品だなあと思った。
とりあえず、「おもしろいらしい」という前情報のみで見た、感想を。
途中までは思った以上につまらなくて、「ああ、しまった、これ、映画マニアみたいな人がああだこうだと喜んで批評するたぐいの映画だ、失敗した!」と思いながらも、「どうせ、いろんな伏線を後でまとめて回収するんでしょ?」というのは想像がついたので、半ば諦めの気持ちでがまんして見ていたのだが、もう見るのやめようかと思うぐらい物語が進んでから、ようやくその伏線回収が始まり、それまでのつまらなかったあれは、ああいうことなのか、とわかってきて、そこからはだんだん面白くなってきた。
ああよかった。途中まであんまりにもつまらなかったから、このまま最後までつまらなかったらどうしようかとドキドキものだったよ。
個人的には、映画部の部員たちがゾンビとして、いわゆる「イケてる」生徒達を襲う場面が最高だったな。
ああいうアホな展開を見られただけでこの映画を見た甲斐があったというもの。
現実ではありえないだろうけれど、こうなったらいいよなあというまさに夢の映像化。
なんというか、貴族に虐げられていた民衆が、我慢の限界に達して武器を持って立ち上がったりとか、困窮した百姓が、一揆で庄屋の家を打ち壊したりとか、そういうのと同じ種類のカタルシスがある場面だよなあ。
いっそ、あそこで映画が終わってもいいんじゃないかと思うぐらいバカバカしくてよかった。
いや、あそこで終わっていたらたぶん賞はとれなかっただろうけれど。
結局、映画のタイトルになった「桐島」君は最後まで登場せず、それにもかかわらず、その影響力を最後まで発揮し続けるのだけれど、これって司馬遼太郎の小説「翔ぶが如く」の西郷隆盛の描き方と構造が似ているなあと思った。
「翔ぶが如く」では、西郷本人はもちろん登場するのだが、作中で西郷がなにを考えていて、どうすごいのかは具体的にはほとんど描かれない。
しかし、西郷がどれだけ周りに影響力があり、すごい人物であったかは、周囲の登場人物の行動や言動を追っていけば、いやでも読者にはわかるようになっているのだ。
で、存在感は希薄であるにもかかわらず、物語は確実に西郷を中心に動いていく。
ちょうどこの映画の桐島君のポジションが、まさにそんな感じだったなあと。
これから、ネットでいろんな人の感想や、解説をいろいろ見ていくと、新たな発見や面白い視点がいろいろ見つけられそうなので楽しみだ。
短い映画だし、一度見たらネタが分かって二度目は楽しめないというタイプではなく、むしろひと通り内容がわかった上でもう一度見ると、新たな発見があったりしてさらにおもしろく見られるにできているので、時間をおいてもう一度見てみようかなと思っている。
なるほど、評判はだてじゃない。やっぱりこの映画おもろいわ。
つまりはそういうことだ。