「銀河英雄伝説列伝1 (晴れあがる銀河)」を読んだ

 もうすぐ選挙ですね。

 

 私は一応、選挙は毎回投票に行っているのですが、「選挙なんて意味がないから行かない」という人に、心情的には大いに共感していて、正直、その意見に対して、うまく反論できる自信はありません。

 でも、まあ、個人レベルでは行かないほうが合理的なのかもしれないけれど、社会全体として考えると、行ったほうが良いよね、行かないと巡り巡って自分の不利益につながっちゃうんだよね、と自分に言い聞かせて、いろいろ自分なりに選挙を楽しむ方法を模索しながら、国政に参加しています。

 

 だいたい、公約とかいうのがいけない。

 破ったところでなんの罰則もないし、実際、あいつら全然守らんもんな。

 投票する側の判断材料なんて、与党を除けば、公約ぐらいしかないのに、それがあてにならんのなら、誰に投票するかなんて、考えるだけ無駄でしょ、みたいなのも、本音としてはやっぱりあるんですよね。

 

 N国なんて、NHKネタの一点突破で当選させてもらったくせに、それすら当選後は、なんもしていないもんな。

 当選して、次の選挙までに公約を守れなかった議員は、次回選挙で、立候補をする権利を失う、みたいにすれば、もうちょっと真剣に公約を守ろうとがんばるんじゃなかろうかと思うのですが、駄目なんですかね。

 

 などいろいろ言いたい気持ちはやまやまですが、そうはいっても、例えば日本サッカー協会とか、北朝鮮や中国なんかを見ていると、世の中にはこういう世界も現実にあるんだし、民主主義が曲がりなりにも機能しているこの国の状態というのは全然ましで、ありがたいというのを忘れてはいけないんでしょうね。

 

銀河英雄伝説列伝1 (晴れあがる銀河)

 というわけで、銀河英雄伝説ですよ。

 この作品では、

 民主主義が素晴らしいっていうけれど、本当にそうなの?

 独裁でも指導者が優秀なら、そっちのほうが国民にとっても良いんじゃない?

 みたいなことをフィクションの中で常に問うてくるわけです。

 この作品、中国でも人気があるらしいのですが、中国の人はここらへんの機微について、どう感じるのかちょっと興味があるところです。

 

 その名作を、別の作家がトリビュートした、ひらたく言えば、プロ作家の二次創作集がこちら。

 

 読む前は、あまり期待してなかったんですが(それが良かったのかも)、さすがプロの作家、つぶぞろいで、どれも楽しく読ませてもらえました。

 

 銀英伝のファン層の広さゆえか、参加している作家さんがミステリ、SF、歴史小説など、色んなジャンルにまたがっていて、しかもミステリ作家ならミステリっぽい話、SF作家ならSFっぽい話にまとめているので、この作家は、銀英伝をどう料理するのかな?という作家の個性を読むのがなかなか楽しいです。

 

 キャラのブレみたいなのは感じませんでしたし、本編のストーリーからずれることができないという制限の中で、隙間を見つけて、銀英伝っぽい小説を成立させる手際に、やっぱりプロはすごいな、と思いました。

 

 歳をとるに従って、読む本がフィクションよりノンフィクションに偏りがちになってきているのですが、たまにこういうのを読むと、小説っていいな、と再認識します。