2015年に行った美術展を振り返る

 年末振り返り企画、今回は、「2015年に行った美術展を振り返る」にしました。

 

 

 この一年間を振り返って記事にするのって、ある意味、大掃除に近い行為だなと最近思うようになりました。

 私の場合、物理的な掃除は、週末などにちょこちょこ、場所を決めて集中的にしているので、年末に気合を入れて大掃除、ということはここ数年していないのですが、読書や映画鑑賞、美術館賞などの記録は、今回のように気合を入れてあっちこっちからデータを集めないと集計できないので、こちらも普段から整理しておいたほうがいいと気づきました。

 そこで今回はアート系の話ですが、今年は結構足繁く、美術館と博物館(英語だとどちらも「museum」なのに、なんでわざわざ日本語だと分けるんですかね)に通った記憶があったので、どれくらい行ったのか数えてみたら、なんと32回。月2回以上のペースでした。

 たぶん、今年が過去最高で、今後もここまで行くことはないとは思いますが、それにしてもよく行ったものです。

 例によって、カレンダーやSNSなど、あちこちに分散して記録しているものを改めて数え直しているので、もしかしたら漏れがあるかもしれません。

 本や映画同様、どこか一箇所に記録して管理したほうがよさそうですが、本や映画ほどユーザー数がいないから仕方ないのですが、なかなか美術館鑑賞記録に特化したサイトやアプリというのは見つからないので、どうしたもんですかね。

 

 ちなみに、今年最後に行ったのが「プラド美術館展」@三菱一号館美術館と「銀座春画展」@永井画廊でした。

 

プラド美術館展—スペイン宮廷美への情熱 |三菱一号館美術館

 

 世界3大美術館や4大美術館なんかに入ったり入らなかったりする、「四天王の中では最弱」的ポジションのマドリッドにあるプラド美術館(ちなみにこの手の3大、4大と称する時、大英博物館ルーブル美術館は鉄板で、その他は時と場合によっていろいろ変わるみたいです)の展覧会です。

 今回は主にサイズ的に小さめの作品が中心の展示となっています。

 スペインにある美術館だけあって、ゴヤ、ベラスケス、エル・グレコや、ベルギーやオランダよりのルーベンス、ヒエロニムス・ボス、ブリューゲルあたりがありました。

 有名どころの作品では、ボスの「患者の石の切除」があったのですが

 

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 実物を見ると、すごく小さくて、イメージと随分違いました。

 そこらへんは、実際に見てみないとなかなか写真や図録ではわかりにくいところですので、行く値打ちがありますね。

 来年1月末までやっています。

 

www.shunga.gallery

 

 こちらの春画展は、葛飾北斎の作画による、二人の女性の性遍歴を描いた異色の艶本『萬福和合神』一冊をメインに展示されていて、本一冊まるまるiPadでデジタルデータを見ることができたり、光で透かすと春画があらわれる絵葉書が、ライトをつけたり消したりできる状態で展示されていたりと、作品数が少ない分、いろいろ凝った展示をしていました。

 永青文庫での春画展の成功を受けて、今後は春画展も頻繁に見られるようになりそうな雰囲気ですね。

 

 ほとんど終了したものばかりですので、今さらランキングをつけるというのもあまり意味がないかもしれませんが、せっかくですので、今年行った展覧会から、印象深かったものを5つあげてみます。

 

1位 「エリック・サティとその時代展」@Bunkamuraザ・ミュージアム

 

www.bunkamura.co.jp

 

junichiro241.hatenablog.com

 

 19世紀末から20世紀にかけてのパリの芸術家たちをサティを軸にして展示するというアイデアが良かったです。

 自分の場合、予備知識があまりないので、純粋な作品展より、その周辺の文物も含めて周辺情報もいっしょに展示している方が、絵そのものも、記憶に残りやすくて好きです。

 

2位 画鬼・暁斎-KYOSAI@三菱一号館美術館

 

幕末の浮世絵師、河鍋暁斎の展示会。

すでに展示会のサイトは閉鎖されています。

junichiro241.hatenablog.com

 

 こんなすごい人が、いたなんて、と驚きでした。葛飾北斎同様、特定の流派に所属せず、とにかく自由になんでも書いているので、おもしろいです。

3位 ニキ・ド・サンファル展@国立新美術館

 

www.niki2015.jp

 

junichiro241.hatenablog.com

 

 まったく聞いたこともなかった人だったのですが、チラシの色使いを見て、見に行こうと思いました。

 こういう、「ピンときた」から観に行った展示会というのは、たいてい外れませんね。この作家を語る上で外せないフェミニズム云々は正直、どうでもいいし、うっとうしいとしか思わなかったのですが、作品は良かったです。

 

4位 アール・デコの邸宅美術館@東京都庭園美術館

 

www.teien-art-museum.ne.jp

 

junichiro241.hatenablog.com

 

 建物そのものが展示物。

 アールデコ、いいですね。もっとこの分野はいろいろ見たいところです。

 

5位 ジョルジョ・デ・キリコ −変遷と回帰− @パナソニック汐留ミュージアム 

 

panasonic.co.jp

 たまたまタイミングが合って、観に行ったのですが、おもしろかったです。

 ダリやマグリットが日本でこれだけ人気があるのなら、この人も、もっととりあげられてもよさそうなものなのに、今一歩マイナー感があるのは、どうしてなんでしょうね。

 規模が小さくても、一作家の単独展のほうが、記憶に残りやすくて良いです。

 

 以上です。

 

 来年はイタリア国交150周年ということで、イタリア系作家の大物展示(今わかっているだけでも、ダヴィンチ、カラヴァッジョ、ボッティチェリなど)が相次いで開催されます。

 私はルネッサンス周辺はあんまり興味が無かったので、実はそれほど心躍るわけでもないのですが、折角の機会なので、来年はイタリアと、それまで手薄だった浮世絵以外の日本美術あたりを意識して観ていけたらいいな、と漠然と考えています。

 つまりはそういうことだ。