「伝説巨神イデオン」を見た。あの作品と似ている。

伝説巨神イデオン」を見た

 U-Nextの見放題に入っていたので、この機会にTV版、劇場版を一気見しました。

 当時はこんなダサいロボットのデザインが通って、これをかっこいいと言って、子どもたちは喜んで見ていたのか、と愕然としたのですが、後で調べてみると、当時から監督ブチギレのダサいデザインという共通認識で、プラモも全然売れなかったようなので、時代のせいじゃないとわかり、ホッとしました。

 

 しかしこのロボット、最初から合体した状態で戦っていたほうが強いのに、毎回わざわざ分離、合体を繰り返す意味が最後までわかりませんでした(本当はわかるんだけれど、それでも、もうちょっと納得感のある演出にできなかったものかと思いました)。

 

 本作で一番気に入ったのは、主人公のコスモくんですね。

 特別な才能に恵まれているわけでもなく、血統に優れたサラブレッドというわけでもない普通の男の子。

 イデオンの操作すら、彼でないとできないわけではないのに、大人たちに混じって、行動で自分を認めさせ、大人として成長していく好青年。

 親が殺され、せっかくできた恋人まで殺されと、逆境につぐ逆境なのに、自分を失わず、敵であり、仇でさえある異星人に対してもリスペクトを忘れない、強い子です。

 主人公として、真っ当すぎて、逆になかなかいないタイプかもしれません。

 

 最後が特に、すごいすごいとは聞いていたので、ある程度、心の準備ができてはいたのですが、確かにすごかったですね。

 

 正直、ラストを除けば、そこまで夢中になるほどのおもしろさでもなかったのですが、かといって、つまらないかといえば、そういうわけでもなく、毎回、そこそこ見どころがあったりして、一日1~2話のペースでぬるく見るのにちょうどよかったです。

(最終回前、最終回、劇場版2作は一日で一気見でしたが)。

 

 問題の衝撃のラストですが、私の感想としてはなかなか良かったな、というポジティブな印象でした。

 逆に、話の流れや、それまでの積み重ね、伏線などから考えると、あれ以外の終わり方はなかったのではないか、という気さえするぐらい自然に感じました。

 収集がつかなくなってのぶん投げラストでは決してない。

 ただ、それを、実際に子供向けのロボットアニメでやってしまったのが、すごい、というだけで。

 

 そして、イデオンの見事なラストを見て思い出したのが、全然ジャンルは違うのですが、最近終わった「進撃の巨人」と「タコピーの原罪」という作品です。

 

 

 私はこの2作品とも、とてもおもしろかったし、楽しみはしたのですが、どちらもラストが不満で、それで自分の中での評価を大きく下げてしまった部分があります。

 

 どちらも読んでいて「これはひどい、こんな絶望的な状況、いったいどうやって終わらせるんだ!?」と、続きが気になってしかたがなく、最新話が出るたびに、ワクワクして続きを読んでいました。

 

 それだけに、テンションマックスで臨んだ両作品の最終回の、予定調和的なぬるいご都合主義的ラストに、「そうはならんやろ」と、どちらもがっかりしてしまいました。

 

 特に進撃の巨人なんて、イデオンのように絶滅ラストのほうが、絶対説得力があったのに。

 

 本当は、どちらの作者も、最後はみんな破滅するイデオン的ラストを想定して描いていたのかもしれないけれど、人気のある作品をそんな終わらせ方させられないという、内外の圧力のようなもので、無難な終わらせ方で締めてしまったのではないだろうか、と邪推してしまいます。

 

 それに比べて、視聴者の反応おかまいなしに世界観を最後まで貫いた富野由悠季のすごさよ。これは、職人であるとともに、間違いなくアーティストですわ。

 

 ところで、現代にこんな殺伐としたテーマ、終わり方をする作品は、マイナー作品ならともかく、メジャー作ではありえない、というか、したくてもできないだろうな、と一瞬思ったのですが、ありましたよ、超メジャーなエンタメ作品にもそういうやつが。

 

 お互いが理解し合えないまま殺し合ってばかりで、殺伐とした救いのない話。

 ほぼ絶滅ラストで終わってしまうイデオンみたいな作品が。

 

「鎌倉殿の13人」っていうんですけれどね。

 

 「令和のイデオン」こと「鎌倉殿の13人」に、今後も目が離せません。